税制改正を“具体的に”押さえておきましょう(令和8年4月号)

新年度がスタートしました。
毎年この時期は税制改正がありますが、「結局何が変わるの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、日々の実務や経営に関係しやすいポイントを、少し具体的にご紹介します。
■「年収の壁」引き上げで働き方が変わります
今回の改正で、いわゆる「年収の壁」が引き上げられました。
これまで「○万円を超えないように働く」という調整をしていた方も、
今後はもう少し長く働いても税負担が増えにくくなります。
たとえば、
- 月8万円 → 月10~11万円程度まで働く人が増える可能性
- 人手不足の企業にとってはシフト調整がしやすくなる
一方で企業側は、
- 扶養控除の判定の見直し
- 年末調整の設定変更
など、実務面の対応が必要になります。
■賃上げ税制は「誰でも使える制度ではなくなる」
これまで比較的使いやすかった賃上げ税制ですが、条件が厳しくなります。
具体的には、
- 一定以上の賃上げ(例:4%以上)が必要
- 書類整備や計算もやや複雑
つまり、
「とりあえず少し給与を上げればOK」ではなく
「計画的に賃上げしないと使えない制度」になります
特に中小企業では、
- 利益とのバランス
- 人件費の継続負担
を考えながら判断する必要があります。
■インボイス制度は“これからが本番”
インボイス制度の経過措置も変わります。
これまで使えていた「2割特例」が終了に近づき、
今後は実際の消費税負担に近い計算になっていきます。
たとえば、
- 売上1,000万円 → 今まではざっくり納税OK
- 今後 → 仕入や経費の管理がより重要に
つまり、
「なんとなく申告」から
「しっかり帳簿管理」へ
特に個人事業主の方は、
- 経費の取り漏れ
- インボイスの保存
がこれまで以上に重要になります。
■設備投資は“節税チャンス”
設備投資に関する税制は引き続き優遇されています。
たとえば、
- 機械やシステムを導入した場合
→ 一括で経費計上できるケース(即時償却) - 税額控除(税金が直接減る)も選択可能
また、
- 40万円未満の資産は一括経費OK(条件あり)
つまり、
「どうせ買うなら今が有利」というケースもあります
特に、
- PC入替
- 業務システム導入
- 店舗設備
などは検討価値があります。
■暗号資産は税金がシンプルに
仮想通貨については、課税方法が見直される予定です。
これまで
利益が出ると最大55%課税(総合課税)
今後は
約20%の分離課税へ(予定)
これにより、
- 税額が読みやすくなる
- 損失の繰越も可能に
投資されている方にとっては大きな変化です。
■まとめ(実務への影響)
今回の改正をひとことで言うと、
「働き方・給与・消費税のルールが少しずつ現実的に変わる」
特に影響が出やすいのは、
- パート従業員がいる会社
- インボイス登録している事業者
- 設備投資を検討している企業
です。
■おわりに
税制改正は一つひとつは小さく見えても、積み重なると大きな差になります。
「うちの場合どうなる?」という点は、個別に状況を見ないと判断が難しい部分も多いため、気になる点がありましたらお気軽にご相談ください。
新年度もどうぞよろしくお願いいたします。