熊本地震に伴う税務上の支援措置について(令和8年8月号)
熊本地震に伴う税務上の支援措置について
このたびの令和8年熊本地震により被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
一日も早く、安心した日常と事業活動が戻りますことをお祈り申し上げます。
災害が発生した場合、税金についてもさまざまな支援措置が設けられます。今回は、令和8年熊本地震に関連して公表されている「申告・納付期限の延長」や「地域指定」などについて、分かりやすくご紹介します。

■国税の申告・納付期限が延長されています
国税庁は、令和8年熊本地震による被害を受け、一定の地域について、国税の申告・納付等の期限を延長する措置を行っています。
対象となる指定地域は、次の地域です。
- 熊本県八代市
- 熊本県宇土市
- 熊本県宇城市
- 熊本県八代郡氷川町
これらの地域に納税地がある方については、令和8年7月28日以降に到来する国税の申告・申請・請求・届出・納付等の期限が、別途定められる日まで延長されます。
■「地域指定」とは?
今回のような大きな災害が発生した場合、国税庁が被害の大きい地域を指定し、その地域に納税地がある方について、申告や納付の期限を一律に延長することがあります。
これを一般に「地域指定」といいます。
地域指定の対象となった場合、対象地域内に納税地がある納税者は、個別に申請をしなくても、申告・納付等の期限延長の対象となります。
一方で、指定地域以外の方でも、災害の影響により期限までに申告や納付ができない場合には、所轄税務署へ申請することで、個別に期限延長を受けられる場合があります。
■指定地域以外でも、個別申請ができます
今回の地域指定は、八代市・宇土市・宇城市・八代郡氷川町が対象です。
しかし、指定地域外に納税地がある場合でも、たとえば次のような事情があるときは、個別に期限延長の申請ができる可能性があります。
- 事務所や店舗が被害を受けた
- 帳簿や請求書などの書類が確認できない
- 停電・通信障害により申告作業ができない
- 交通事情により税務手続きが困難
- 関与先や取引先の被災により資料がそろわない
この申請は、期限が過ぎた後でも、状況が落ち着いてから行うことができます。慌てて無理に手続きを進めるのではなく、まずは安全確保と事業・生活の復旧を優先してください。
■県税にも減免・期限延長・猶予の制度があります
熊本県でも、令和8年熊本地震により大きな被害を受けた方に対して、県税の減免、申告・納付期限の延長、納税猶予などの制度が案内されています。
県税についても、対象地域は次のとおりです。
- 熊本県八代市
- 熊本県宇土市
- 熊本県宇城市
- 熊本県八代郡氷川町
対象地域に住所、主たる事務所、事業所を有する納税者や特別徴収義務者については、令和8年7月28日以降に期限が到来する県税の申告・納付等について、期限延長の対象となります。
また、対象地域以外であっても、災害により申告や納付が困難な場合には、申請により期限延長や納税猶予を受けられる場合があります。
■被害を受けた場合は、記録を残しておきましょう
災害により住宅、家財、事業用資産などに損害を受けた場合には、税務上の軽減措置や保険請求、各種支援制度の手続きで、被害状況を確認できる資料が必要になることがあります。
できる範囲で、次のような資料を残しておきましょう。
- 被害箇所の写真
- 修理見積書
- 修理代金の領収書
- り災証明書
- 保険金の支払通知書
- 壊れた備品や在庫の一覧
- 帳簿や請求書などの再確認資料
事業者の場合、商品・在庫・機械・車両・店舗設備などの被害状況も、できるだけ記録しておくことが大切です。
■雑損控除や災害減免法の対象となる場合があります
個人の方が災害により住宅や家財などに損害を受けた場合、所得税については、確定申告により「雑損控除」または「災害減免法による税金の軽減免除」のいずれか有利な方法を選択できる場合があります。
また、今回の熊本地震は令和8年8月7日に特定非常災害に指定されており、住宅や家財などの損失について、所得金額から控除しきれない金額がある場合には、一定の繰越控除の取扱いもあります。
どちらの制度が有利かは、所得金額や被害額、保険金の有無などによって異なりますので、申告前に確認が必要です。
■まとめ
令和8年熊本地震に関しては、国税・県税ともに、申告・納付期限の延長や納税猶予、減免などの支援措置が設けられています。
特に確認しておきたいポイントは、次の3つです。
- 八代市・宇土市・宇城市・八代郡氷川町は、国税の地域指定の対象となっている
- 指定地域以外でも、被災状況により個別申請で期限延長を受けられる場合がある
- 被害を受けた場合は、写真・見積書・領収書などの記録を残しておくことが大切
災害時は、通常どおりに申告や納付ができないこともあります。
そのような場合でも、制度を正しく活用することで、税負担や手続きの負担を軽減できる可能性があります。
■おわりに
災害時には、まず身の安全と生活・事業の復旧が最優先です。
税務手続きについては、期限延長や猶予などの制度がありますので、無理をせず、状況が落ち着いてからご相談ください。
当事務所でも、被災された方の申告期限延長、納税猶予、雑損控除、災害減免などについて、できる限りサポートいたします。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。